批評:悪魔に魅せられし者

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待ちに待った名作ゲームブックの復刊。伝説的アーケードゲーム「ドルアーガの塔」を下敷きにゲームブックにしたものであり、1986年東京創元社より3部作として刊行されました。かねてより、マニアの間で復刊が望まれていたものの諸々の事情により絶望視されていたのですが、ついに創土社より復刊となりました。

ゲームブックとは、本の指示通りに話の展開を選択し自分で物語を進めていくゲームのような本、といえば良いでしょうか。欧米では比較的にメジャーらしく、今もなお新作が出ているらしいです。日本では80年代に一世を風靡したものの、今では知る人ぞ知るジャンルとなってます...。

今回取り上げる「悪魔に見せられし者」は東京創元社から刊行されたゲームブックの中でも、いや全世界のゲームブックの中でも屈指の名作と評価されてます。

80年代は東京創元社だけでなく富士見書房・双葉社・二見書房・富士見文庫・社会思想社など、様々な出版社から数多くのゲームブックが刊行されました。当時は東京創元社・二見書房・社会思想社から欧米の名作を数多く刊行されてましたが、初めは和製ゲームブックはほとんどありませんでしたが、東京創元社から日本人作家による作品が刊行されるようになりました。なかでも今作は原作である「ドルアーガの塔」の世界観を壊さずにオリジナルストーリーを構成し、ゲームシステムにおいてもユニークであったため高い評価を受けています。事実、ゲームブックの最高傑作と名高いソーサリー4部作と並び称されています。(ソーサリー4部作もいずれ書こうと思っています)

3部作の第1巻である今作は、ゲームブックとしては実にオーソドックスな作りとなっています。ただ、ソーサリーを初めとする欧米系のゲームブックと異なるのは自由に動き回れるということ。それまでのものは一度選択すると、後戻りすることが出来ないものが多かったのですが、ドルアーガ三部作は逆に後戻りできる、言い換えれば細部までじっくり練りこまれていました。謎解きも挿絵と連動したパズル的なものなど、視覚的に楽しいものも多くありました。こういった点が今作を名作にたらしめている所以でしょう。

勿論、最近のビデオゲームと比べればゲームブックは非常に地味であり、MMORPGと比較すれば孤独なものです。しかし、ゲームとしての本質は劣っておらず、その骨太な面白さは凌駕しているとさえいえるでしょう。特に本作はその中でも傑作として名高いもの、是非とも触れてその面白さを知ってほしいです。

悪魔に魅せられし者

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このページは、sakuradaが2007年1月17日 23:34に書いたブログ記事です。

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