「Barcelona」はフレディとモンセラート・カバリェの出会いがなければ生まれなかったアルバムです。フレディの趣味の一つにオペラ観賞があるですが、パバロッティ目当てで見に行ったオペラで心奪われたのがモンセラート・カバリェでした。彼女の歌声に虜になった彼は数年後にカバリェ本人と対面することになるのですが、意気投合してアルバムを作ることになりました。
このアルバムはロックボーカリストとオペラの歌姫のコラボレーションという、類稀なものです。しかし、内容は言うまでもないでしょう。かたやNO1のロックボーカリスト、かたやヨーロッパを代表する歌姫、それにフレディの作曲能力は言わずもがな、悪いはずがありません。一押しは当然、アルバムタイトルにもなっている「バルセロナ(Barcelona)」。高らかに歌うフレディとカバリェの織成すハーモニーは思わず鳥肌が経つほど。また、ロックとオペラ(ロックオペラのことではなく)という通常ならば有り得ない組み合わせが、恐ろしいほど美しく融合しています。
他にも面白いのは以前にも紹介した「ラ・ジャポネーゼ(Japonaise)」。日本語歌詞がかなりの部分を占めており、彼の日本贔屓が窺い知れます。惜しむらくは曲調が和風というよりもどことなくアジアンテイストなのですが、二人の歌声にマッチしていてこれまた素晴らしいです。
本来ならば、1992年のバルセロナオリンピックではフレディとカバリェが「Barcelona」を歌うはずでしたが、残念ながら実現することはありませんでした(代役はホセ・カレーラスが務め、公式CDアルバムにはフレディとカバリェによるものがボーナストラックとして収録されています)。また、このアルバムを制作する少し前ぐらいにHIV感染したその事実をフレディ本人は知っており、そのことを考えると彼がどういう気持ちでレコーディングしていたか、憧れの歌姫との共演にどれほど心弾んでいたか、推して知るべきでしょう。
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