タイトーの料金改定

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タイトーが運営しているゲームセンター、タイトーステーションがまず2店舗でプレイ料金を改定するらしい。ただ、その料金が120円という非常に半端なものなのだ。既にブログなどで厳しい意見がとんでいる。しかし、これは非常に興味深く、タイトーがこの半端な料金改定に適当な決断を下したとは思えない。

PLAYする割合はめっきり減ったものの、今でもゲームセンター通いは続けている。自分の個人的な感想として、現在のゲームセンターは1PLAY50円ないし100円ではとてもじゃないけど商売にならないだろう、と良く思う。ネットワークシステム、トレーディングカード、メモリーカードなど、補充やメンテナンスに手間のかかるものが増えているし、店舗によっては観戦用のディスプレイを設置してあるところもある。筐体自体にもカードリーダーなどが付き、メンテナンス費用がかかるものになっている。それ以外にも、人件費や賃料だって高くなっているだろう。そして何より、プレイヤー数が減少している。

費用がかさむ一方で売り上げは落ちる、そんな状況なのだから30年前と同じ料金でやっていけるはずが無い。しかし、だからといって200円・300円にしてしまえば一気に客足は遠のくだろう。ではトークンシステムやプリベイドカードシステムに移行しなかったのは何故だろう、と思うかもしれない。海外ではトークンシステムのゲームセンターは多いらしいし、以前タイトー系列のゲームセンターはプリベイドカードを取り入れていた。恐らくは初期投資や防犯対策にかかる費用が馬鹿にならないからだろう。トークンシステムを取り入れるならば前もって相当数のトークンを準備しなければならないし、筐体の硬貨投入口をトークン用のそれに換えておかなくてはならない。となると初期投資は馬鹿にならないし、トークンの管理に新たなコストがかかる可能性がある。カードシステムも同じだ。初期投資・追加コストの問題もあるし、以前採用して定着しなかったという「実績」もある。

また、半端な料金に値上げするにしても硬貨ではなく、なぜ電子マネー導入しなかったのだろうか、と思うかもしれない。確かに、電子マネーなら半端な料金でも簡単に払えるし、効率もよくなるかもしれない。しかし、電子マネーほど扱いづらく安定しないものは無いだろう。確かに現在はSUICA・Edy・NANACOなど電子マネーは広く普及している。だが、根本的なシステムでは各陣営ごとバラバラなシステムであり、相互に交換できる状況ではない。つまり、導入しようとすると筐体に複数もの電子マネーを読み取る機器を取り付けるか、どれか一つを採用して後は切り捨てるという選択をせざるを得ない。しかし、実際には初期投資やメンテナンス性、コスト面の問題で全てのシステムを取り入れることは難しく、どれか1システム+硬貨というのが主流になるだろう。そうなると電子マネーの持つ利便性は失われるだろう。それに経営側にとって一番の問題はすぐに換金できないということだろう。自分は経理のエキスパートでもないのでここからは完全な推測だが、電子マネーはすぐ換金は出来ないと思う。これは前述の通り、各陣営ごとバラバラのシステムであり、電子「マネー」と言いつつも現金、あるいは銀行口座のように普遍的な交換手段ではない。どちらかといえばギフト券や図書カードのような商品券に近いものだろう。となると、いくら電子マネーによる売り上げが増えてもそれは帳簿上での話であり、実際に使えるのは数ヵ月後、という可能性がある。これは経営側にとって非常に頭の痛い問題だろう。もしかしたら黒字にもかかわらず閉店せざるを得ない「黒字倒産」に陥る可能性もある。そこまでリスクの高い選択を出来る店舗などいくつあるのだろうか。

と考えると、今回の120円という半端な料金は非常に現実的な選択だと言えるだろう。勿論、筐体の10円対応という費用はかかるだろうし、20円と言えども値上げには違いない。だが、硬貨の判別システムは何十年も使われている実績あるものであり、所謂枯れた技術である。他のシステム導入より抑えられる可能性が高く、メンテナンス性も確実に秀でているはずである。それに120円といえば自販機の缶ジュースと同じ金額だ、意外と受け入れられる可能性もある。

今回のタイトーの決断は僕は評価する。確かに値上げはきつい。でも、30年前と同じ価格でやり続けることこそ無理があると思う。この英断がゲームセンター業界にどう影響するか、注目していきたい。

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このページは、sakuradaが2009年2月10日 00:38に書いたブログ記事です。

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